I-PEX(京都府京都市)は、次世代のリチウムイオンバッテリーにおいて、シリコン系活物質の密着性や導電性を改善することでバッテリーの性能向上に貢献する集電体“三次元不織布集電体”の開発を進めている。
次世代リチウムイオンバッテリーの開発では、バッテリー容量を増加させるため、黒鉛系活物質と比較して10倍以上の理論容量をもつシリコン系活物質の活用が期待されている。しかし、シリコン系活物質は放充電によって約4倍の体積変化が生じるため、一般的に負極集電体として使用される銅箔ではバッテリーの充放電を繰り返した際に活物質が膨張収縮することで集電体から剥離するという課題があり、シリコン系活物質の活用が進んでいないのが実状となっている。
I-PEXはこの課題を解決する手段として、コネクタ事業におけるコネクタ一貫生産で培った表面処理技術を活用。不織布に負極向けの銅や正極向けのアルミニウムを用いた表面処理を施し、立体的な表面構造や空隙をもつ“三次元不織布集電体”を開発。不織布の複雑かつ柔軟な構造で活物質をホールドすることにより、シリコン系活物質の膨張・収縮によって発生する剥離を抑制。また、不織布のメタライズ加工により、集電体の高比表面積と銅箔に匹敵する導電性を確保。導電性を有する不織布が活物質層全体に導電パスを形成し、活物質の利用率を向上させ、基材に樹脂不織布を活用することで集電体の軽量化を図れるなどのメリットがある。
