レンチングは、イタリアの老舗アパレル関連メーカー4社と提携し、TENCELリヨセルを使用することにより、ファッション業界が直面している「高い品質を保ちながら、より多くのリサイクル原料を取り入れることの両立」という問題を複合繊維というかたちで解決策を示すことに成功した。マテリアルリサイクルされたコットンやシルク、ウールといった天然繊維に、TENCELリヨセル繊維を組み合わせることで、リサイクル天然繊維につきものの不規則性や品質のばらつきを克服することに成功した。
これらの課題に対処するため、マイクロテクノロジーを採用することでそれぞれ異なる性質を備えている3種類のTENCELリヨセル繊維、すなわちTENCELリヨセルLF、同LFH、および同A100の各繊維を用途や風合いに応じて使い分けることで、メカニカルリサイクルされたコットンやシルク、ウールの性能と感触の向上を実現した。紡績会社のMarchi & Fildi S.p.A、編物会社のMaglificio Maggia、織工会社のDestro Fabrics、ニット衣類メーカーであるMadivaなど4社と提携して取り組んだ。
低フィブリル化されたTENCELリヨセルLFおよびLFH繊維は、卓越した柔らかさと加工安定性を提供。他方、抗フィブリル化されているTENCELリヨセルA100は、実用的用途や家庭用途において、鮮やかな染色とパフォーマンスを実現する。これらの特性は、もともと品質が不安定なリサイクル繊維を扱う際にとくに有用という。こうしたアプローチにより、TENCELリヨセルA100とリサイクルシルク、ウール、カシミアを組み合わせたプレミアムニット、TENCELリヨセルLFとリサイクルコットンをさまざまな比率で混紡した多用途アパレル生地、そして世界初のCradle to Cradle認証エラスタンROICA V550とTENCEL繊維およびリサイクル原料を組み合わせることによる高性能化など、さまざまな応用が行われた。
こうして生まれた革新的な生地は、2025年7月8日から10日にフィエラミラノで開催された「ミラノ・ウニカ」においてレンチング社により披露された。同社はこのプロジェクトを、グローバルなテキスタイルバリューチェーン全体における協業型イノベーションの推進という、レンチングの広範なビジョンを体現するものであり、繊維技術と製造の専門知識が融合することで、循環型の原則が理想にとどまらず、多様な市場セグメントと製品カテゴリーにおいて、実装可能であることを証明しているとしている。