大王製紙は今年7月よりセルロースナノファイバー(CNF)複合樹脂の商用生産を開始したと発表した。三島工場(愛媛県四国中央市)で新たに稼働した商用プラントは、従来のパイロットプラントに対し20倍の生産能力(年産2,000t)をもつ国内最大のCNF複合樹脂製造設備。この商用プラント稼働により同社は、CNFの軽くて強い特長を活かした自動車部材や家電製品等への用途展開に対し、安定的な供給体制を構築することが可能となった。
生産を開始したのはCNF複合樹脂“ELLEX-R67”。品質とコストの観点から部分的にCNF化したセルロースを67%含む(33%はポリプロピレンとなじみを良くする樹脂を配合)高濃度ペレットで、樹脂材料設計の自由度が高く、混練・成形加工しやすい仕様。CNF複合化により剛性が向上したことで、材料の薄肉化が可能となり、軽量化や減プラスチックへの貢献が可能となる。また、繊維が破断しにくいことから物性低下が小さく、マテリアルリサイクルの観点でも優位性がある素材。再生プラスチックの利用促進に向けて、質の低下を補う素材としての利用拡大も同社は期待している。