旭化成ライフサイエンスは、ウイルス除去フィルター“プラノバ”の将来的な需要拡大への対応を目的として、宮崎県延岡市に新たな紡糸工場を建設することを決定した。セルロース膜中空糸の紡糸工場として4番目となる同工場では、“プラノバ S20N”“プラノバ 15N”“同20N”“同35N”“同75N”の製造を2030年1月より開始する予定。建設には、経済産業省による「ワクチン生産体制強化のためのバイオ医薬品製造拠点等整備事業」による補助金の交付が決定している。
“プラノバ”は、バイオ医薬品や血漿分画製剤といった生物学的製剤の製薬プロセスに用いられる、ウイルス除去性能とタンパク質透過性に優れたセルロース製中空糸型フィルター。2021年には次世代セルロース膜“プラノバ S20N”、24年には高い透水性を特徴とした“同 FG1”を発売し、多様化するニーズに応える最適なソリューションを提供している。世界のバイオ医薬品市場は2032年までに5,000億ドルを超え、年平均成長率8.2%(2022年~2032年)で成長すると予測されている。こうした需要拡大にともない、製薬会社での新薬開発や商業生産化に対するニーズは急速に高まっており、生物学的製剤の生産に必要なウイルス除去フィルターの需要も増加傾向にある。こうした状況を受け同社は24年5月、宮崎県延岡市にてプラノバの新組立工場が竣工、供給能力の強化を図ってきたが、今後のさらなる需要増に備え、紡糸工程の生産能力増強が不可欠と判断した。