東京大学生産技術研究所の石井和之教授と、㈱ナフィアスの渡邊圭氏ならびに、青山学院大学理工学部の長谷川美貴教授らの研究グループは、数百nmの細孔を有するナノファイバー製フィルターを、1nm程度の細孔を有するポルフィリン系ナノシートで覆うことにより、ウィルスと同サイズの100nm微粒子を直接捕捉することに成功した。これは、マランゴニ効果を用いた効果的な界面反応による、数cm2の分子性ナノシートの作製技術と、スタンプ法を用いたナノファイバー製フィルターと複合化技術の開発を基盤として開発したもの。大きな圧力損失なしにウィルスや小さな微粒子を取り除くことのできるフィルター開発が進むと期待されている。
エレクトロスピニング法でナノファイバーを積層することにより作製されるナノファイバー製フィルターは、数百nmの細孔を有し、菌やPM2.5などを捕集できることから、N95マスクなどに用いられている。しかし、ウィルスなど、約100nm程度の大きさの微粒子捕集には、過度にナノファイバーを積層することが必要で、空気が通りづらくなり大きな圧力損失が発生することが問題となっている。一方、二次元に分子を集積させ、1nm程度の細孔を有する分子性ナノシートは有望なフィルターと考えられているが、機械的強度が十分ではなかった。