日本精工は、揚げ物調理などに使われる食用油の寿命を延ばし食用油購入コストの削減に貢献する、ろ過機向け食用油劣化抑制フィルターの量産開発を完了した。同社は2015年から開発に着手。2024年夏以降、国内大手食品加工メーカー複数社への試験販売を進め、このほど効果検証を終えたことから、量産開発を完了した。油の劣化を抑制する添加剤をフィルター内に付着(担持)させた仕様となっており、同社によると揚げかすなどの除去と同時に食用油の劣化を抑制するフィルターの実用化は世界でも初めてという。今後、更なる性能向上に取り組み、ろ過機をもたないコンビニエンスストアやスーパーマーケット、弁当・惣菜店を含めた小売業なども含めた顧客への導入検討などビジネスの拡大を目指して行く。
このフィルターを用いて食用油をろ過すると、既存の市販フィルター使用時に比べて食用油の寿命を最大で3割ほど延長が可能であることを確認。3日に1回油を交換していたところを、4日に1回の回数に減らせる可能性がある。これにより、食品加工メーカーや飲食店などの食用油購入量およびその購入費用削減に貢献。また、使用済み食用油廃棄量の削減を通じて環境保全にも貢献する。
食用油の劣化物を除去する手法の一例として、ろ過助剤と呼ばれる粉体を使用する方法がある。ただ、この手法では油を吸って重量が増した粉体の回収にともなう作業負担や飛散した粉体の吸引といった健康リスクが課題となっている。今回開発したフィルターは、油劣化抑制機能をもつ添加剤をフィルター内部に担持させた構造の実現により、従来の粉体を使用した際の健康リスクを軽減する。また、添加剤には食品添加物を使用。フィルターは、厚生労働省が定める食品・添加物等の規格基準である材質・溶出試験を参考とした自主基準をクリアしている。
