花王は、同社開発の“Fine Fiber Technology(ファインファイバーテクノロジー)”を活用し、これを不織布シートに吹き付けることで、不織布とファインファイバーによる2層構造をもつ“ファインファイバー積層シート”の開発に成功した。このシートは、ファインファイバー膜がもつ特徴を保持しつつ、高い強度と伸縮性があるため、これまで難しかった広い面や動きが大きい部位も覆うことができる。このため、これまで使えなかった用途への応用が期待できるとしている。
ファインファイバーテクノロジーは、直径が1μm以下の極細繊維を肌に吹き付けることで、繊維が折り重なった極薄膜を肌上に形成する技術。2018年に発表した。この極薄膜は皮膚を閉塞せず、柔軟性があり、高い毛管力で膜全体に製剤を広げる効果もある。花王は、肌上でファインファイバー膜とスキンケア製剤を組み合わせることで、肌の水分蒸散の抑制や、摩擦などの外部刺激から肌を守る機能を報告してきた。しかし、直接肌に吹き付ける方法だと、凹凸のある部位や動きの多い箇所、広い範囲を覆う用途としては適していなかった。そこで、適用範囲や用途の拡大をめざし、不織布シートを活用することで、大型ファインファイバーシートを工業的に生産する技術開発に取り組んでいた。
花王は今回の研究成果を、「第43回日本美容皮膚科学会総会・学術大会」(2025年8月16~17日・大阪府)にて発表する予定。