国土交通省が実施する下水道革新的技術実証事業(B─DASHプロジェクト)において、帝人フロンティアなど5者による共同研究体が実証した「災害時に応急復旧対応可能な汚水処理技術」が、国土交通省国土技術政策総合研究所によって、その技術導入ガイドライン(案)がこのほど策定された。下水道事業者が技術導入を検討する際に参考にできるよう、技術の概要や導入検討、運用・維持管理などに関する技術的事項をとりまとめたもの。国土技術政策総合研究所ホームページで公開している。
共同研究体に所属するのは、帝人フロンティア、エステム(愛知県名古屋市)、積水アクアシステム(大阪市北区)、日新技術コンサルタント(東京都中央区)、愛知県田原市の5者。近年、下水処理場が自然災害により被災し、水処理機能が完全に喪失する被害の発生頻度が増加している。本実証技術は、調達が容易で可搬性に優れ、現地で組み立てが可能なパネルタンクと特殊繊維担体を組み合わせた生物処理槽、クラウド型遠方監視装置から構成され、資機材の運搬・組み立て・解体の容易性・下水処理性能の早期立上げが特徴。災害時の水処理機能の復旧への導入を想定している。従来技術であるオキシデーションディッチ法(OD法)と比較し、BOD容積負荷0.6kg-BOD/m3・日条件下で安定した処理が可能であるため、反応槽のダウンサイジング化が期待され、災害時の応急復旧だけではなく、将来人口減少が想定される地域の処理能力の増減への対応や小規模処理施設の改築・更新時の適用も可能。