東レは、オレフィン系長繊維不織布“ARTORAY(アートレイ)”シリーズについて、東レ滋賀事業場(滋賀県大津市)において独自設備を使い4月より本格販売を開始することを決めた。資材向けを主軸に、用途に応じた3タイプを販売し、2026年に年間10億円の事業規模に成長させることを目指す。
ARTORAYは、同社開発の独自設備を使って生産するオレフィン系長繊維不織布。用途に応じてユーザーが機能を選択できるよう3つのタイプをラインアップした。“ARTORAY FN”は、フラット加工を施した不織布で、紙に似た風合いをもつが、紙より破れにくく(引裂強力6倍)、紙粉が出ないほか、耐摩耗性に優れるなどの特徴を発揮。包装材料やメディカル用途への適用を想定している。また、“ARTORAY HS”は、嵩高で高い剛性と高い通気量を備える不織布(一般的なポリプロピレン不織布に対し、剛性は約5倍、通気量は約3倍)。フィルター基材としての用途を想定している。そして、“ARTORAY BC”は、2成分複合型で、接着剤を使わず熱によって接着させるヒートシールが可能。繊維の中心がポリエステル、その周囲をポリエチレンが覆う芯鞘構造であり、ラミネート用の基材や包装材料に適している。
オレフィン系の1つであるポリプロピレン長繊維不織布は、そのソフトな風合いからすでに紙おむつを中心とした衛生材料向けに使用され、国内およびアジア地域に事業展開している。ここで培った技術や販売ネットワークも駆使しながら、ARTORAYを資材用途を主軸に国内を中心に拡販を推進し、将来的にはニーズに応じて海外での展開も視野に入れている。