東洋紡エムシーは、溶融紡糸法によるポリフェニレンエーテル(PPE)の繊維化技術を確立した。同法を用いたPPE単体の繊維化は世界初という(2025年2月12日時点、東洋紡エムシー調べ)。PPEは耐熱性、難燃性、耐薬品性に加え、優れた電気特性(絶縁性)をもつエンジニアリングプラスチック。ただ、加熱溶融時の樹脂の流動性が低いことから、PPE単体での溶融成形や溶融紡糸は困難だった。東洋紡エムシーは、溶融工程を改良することにより、樹脂の流動性を維持した状態で紡糸、繊維化することに成功した。
PPEは、加工性や流動性を向上させる効果をもつことから、他の樹脂と混合させたポリマーアロイとして用いられるケースが多く、これらは電気・通信機器や自動車部品などに使用されている。しかし、ポリマーアロイの場合PPEの含有率が下がるため、PPE特有の耐熱性や難燃性、電気特性といった特性を十分に生かしきることができずにいた。
PPE単体の繊維化に成功したことで、PPEがもつ優れた特性を生かした用途展開が可能となる。東洋紡エムシーは、耐熱性や絶縁性が求められる電気・電子分野をはじめ、耐加水分解性や耐薬品性を生かしたフィルターなど幅広い用途を視野に入れており、今後は量産技術の確立とともに、PPE繊維の早期実用化を目指していく。